「マサト先生こんにちは
これから大学でデータサイエンスを学びたいと思っているのですが、数学が苦手です。子供のころから早く暗記しての繰り返しでした。マサト先生はどうやって数学を勉強してきましたか?暗記数学についてどのように思われますか?
僕「質問ありがとうございます。大学でデータサイエンスを学びたいとのこと、素晴らしいです。データを解析したり、アルゴリズムを作ったり、それらを検証したりする仕事はこれからますます重要になってきますし、それに向けてデータサイエンスを大学で学びたいと思う気持ちは大事にした方がいいですね。
子供のころから暗記の繰り返しでしたとのことですが、暗記というプロセスも、難しい概念を理解していくうえで重要な学習方法の一つです。なので数学を暗記するというのは、特に学校の中間・期末試験や、高校入試・大学入試などに一定の効果があります。どういう効果かっていうと、1)難しい概念を吸収する時間を短縮できる、2)思考プロセス全体の経済性が高い、ということだと思います。何か全く新しい数学上の概念を吸収するとき、暗記することによって数学的問題を解くのに時間を短縮できるということ。それと思考プロセスの経済性が高いとは、一度通った思考プロセスを繰り返すのではなく、それを暗記することによって脳みその計算能力を消費しなくてもいいということです。要するに、暗記は本質を理解することを効率的に飛び越えることによって、掛かる時間と脳みその使用を最小限にできるということです。つまり暗記がすべて悪いとは一概に言えません。
それで、数学をどのように勉強してきたかとの質問ですが、僕の勉強法はとてもシンプルで「自分が難しいと思う概念から先に理解する」というのをやってきました。幸か不幸かこういうやり方をしなければいけない環境にいたんだと思うんですよね。 それで、「難しい概念から先に理解する」とはどういうことかというと、より高等な分野(高等数学)をパニックにならず受け入れ吸収する姿勢を作るっていうのが前提にあります。そのうえで、中学生のうちに高校数学を理解していたら中学の数学の勉強が楽に感じるでしょう。高校に入った時点で大学教養レベルの数学や物理学を知ってたら、高校数学は難しく感じません。こんなことできるのかって思うかもしれませんが、できるんです。ちなみに僕は18歳の時点で大学教養の数学や物理は終わっていました。僕が通っていた高専はそういうカリキュラムだったんです。だからといって高校数学や大学受験のテストの問題を解こうと思っても、解き方がわからずトレーニングが必要でした。つまり大学入学試験のための高校数学は無知で、試験問題を解くテクニックがなかったんです。その分、18歳の時点で大学教養レベルの数学を理解したのは僕にとって大きな自信になりました。高校数学を飛び越えて大学教養レベルまで行けるんです。 ちなみに別の例ですが、アメリカのK-12やハイスクールでは飛び級制度があって、ある程度数学の理解が進んだら更に先に進めたりしますよ。
僕は職業柄、大学の数学科の教授陣とディスカッションしたりするんですけど、数学の授業や教科書ってすごくわかりにくいんです。応用や実務の話よりも概念の話が中心なので敷居が高いですよね。でもそれにめげずどんどん行きましょう。
ではどういう勉強法がいいかという話ですが、お勧めは行きたい大学のデータサイエンス学科で使っている教科書を買ってきて読むことをお勧めします。日本なら大学の教室にモグって聴講してもいいですし、もちろん無料で受講できるEdxやcourseraのオンラインコースも沢山出ているので片っ端から受けるのもお勧めします。質問者さんの希望が叶ったら、将来大学でデータサイエンスを学び始めるわけですから、今から先に(大学でデータサイエンスを勉強する前に)自分でガリガリ学んでおくのがいいんじゃないかなと思いますよ。 どの数学を先にやったらいいのかわからない場合はCulculus(微積分学) Linear Algebra (線形代数)、Statistics and Probability(確率統計)からでいいと思います。あと数学以外の話ですがプログラミングのスキルもあると助かりますよね。
質問者さんが立派なデータサイエンティストとして独り立ちした時にはぜひお会いしたいですね。
応援しています。
マサトナカムラ