【質問答えます】44歳金融系フリーランス、英語も専門性も限界を感じている。

質問者AEさん「44歳大卒金融系フリーランス。北米在住14年。家庭を養える収入はありますが、高度な英語力にも専門性にも限界を感じています。是非アドバイスを!」

僕「質問ありがとうございます。北米在住14年とは凄いと思います。外国で10年以上生き残るということ普通はなかなかできません。しかも家族を養えるほどの収入があるとのこと素晴らしいです。

家族を養えるほどの収入があるとのこと素晴らしいです

44歳大卒金融系フリーランスとのこと、限界を感じているというのも十分理解できるシチュエーションです。特に今よりも高度な英語力や専門性を付けるべきとの実感・限界を感じる気持ちは手に取るようにわかります。焦燥感やミッドライフクライシスは40代中ごろから経験する場合も多々あるからです。

AEさんの経歴等具体的な内容はこの短い文章からはわかりませんが、金融系フリーランスといえば大体、会計士やファイナンシャルプランナー、もしくは保険業や投資業の方が多くいらっしゃいます。新しい事業を考えたり、新規に参入する業界を決めたりいろいろ限界を打破する方法はあると思います。

まずそのフリーランスでもクライアントが日本人メインだと限界を打破するのはなかなか大変だと思います。というのも、日本人を相手にしたビジネスだとどうしてもパイの取り合いになり、競争が激しくなります。他のアジア人や、アメリカ人など新規顧客を得たいときは英語ははるかに重要なものになります。北米、特にアメリカやカナダは、同じクラスのコミュニティーで成り立ってます。つまり横のつながりが強くて、縦の交流が驚くほどありません。労働者階級は労働者同士で、ミドルクラスの家庭はミドルクラスの集まりに、アッパーミドル、リッチ、スーパーリッチ、低所得者層は同じもの同士で結びついています。だからメンバー制の「クラブ」や「フラタニティ」のようなものが発展しているのです。もしAEさんが自分のコミュニティーだけではなく、もっと違うクラスの人と仲良くなりたいのなら、やはり、高度な学位を取得したり、英語力を伸ばしたりして、コネクションを広げるのが一番だと思います。例えば、NYには大きい日本人コミュニティーがあるのですが、やはり日本人だけで固まるのではなく、積極的に他の人種のアメリカ人コミュニティーに入って行くのがいいでしょう。それには英語のブラッシュアップは不可欠です。

アメリカやカナダは同じクラスの横のつながりが強くて、縦の交流が驚くほどありません。

また専門性も大卒だと、金融系だとなかなか苦しい状況なのはよくわかります。AEさんのバックグランドは存じ上げていないですが、CPAやCFAなどの資格を持っている場合、MBAやEMBA(エグゼクティブMBA)といった他のグラジュエートスクール(大学院)のデグリ―をお取りになってはいかがでしょうか?どっぷりアメリカ社会に浸かり、コミュニティに根ざすことをしなければ、新規顧客獲得どころかお話しすら聞いてくれない場合も多いです。一方で大学院の同級生や大学のアルムナイ(同窓生)の集まりはコネクションを広げるのにいいですよ。40代で遅いってことはありません。

ネットワークとしての社交クラブ

因みに、アイビーリーグや地元の大きな大学の場合、アルムナイが強くてそれがクラブのように機能している場合が多いです。そこには地元の有力者や名士、篤志家、政治家、財界の重鎮がいる場合もありますよ。例えばコロンビア大学だと、コロンビアクラブという卒業生や大学関係者が入れる社交クラブがあります。アイゼンハワー大統領もアメリカの大統領になる前はコロンビア大学の学長をしていましたし、オバマ前大統領もコロンビアのアルムナイです。ともすれば大統領に直接使がる人脈を持つことも可能にさせるのが社交クラブです。僕の場合はコネづくりとは関係ないですが、コロンビア大学を卒業した後、大学に頼まれて受験者の入学選考の面接審査に参加したりしています。大学側も、ちょっとでもいい学生を入れるために卒業生の力を借りているのです。また、卒業式には毎年招待されますし、大学に講演を頼まれたりパネルディスカッションに呼ばれたりします。今では、在学時よりももっとタイトに(強く)コロンビアのコミュニティーに関わっています。そういう普段のネットワークが転職時や社会的・経済的困窮時に身を助ける場合が多いのですよ。因みに僕がニューヨーク市立大学に赴任が決まった時一番喜んでくれたのが、学内でアルムナイの僕を一貫してサポートしてくれた歴史学教授のスティーブ・ミンツ先生でした。コロンビア在学中は学費が高いと思いましたが、卒業後のネットワークは絶大なるものでした。親族がニューヨークにいない外国人の僕にとってはそういうネットワークがアメリカ社会に入り込んでいくためのいい機会だったし、お金では買えない貴重なものなんです。また語学・交換留学生や客員研究員は大学から見ると一種のお客さんなので、アルムナイのイベントや社交クラブになかなかコミットできないのが現状です。

アメリカで生き残るためには

他のアイビーリーグもハーバードクラブやイェールクラブなどマンハッタンにあります。日本だと単にアメリカの大学は授業料が高い、MBAの価値は授業料の値段に合わないなど、表面的なことだけ話題になりますが、アメリカで生き残るためにはそういう社交クラブのようなコミュニティーに参加できる立場がすごく大事になってきますよ。かけがえのない親友やライバルを作り、世代を超えたネットワークを十分活用できるのは、企業にはないアカディミアの大きな特徴です。何か地域や地元大学にコミットするといいでしょう。

それで、金融の専門知識や英語力が同時につけば一石二鳥だと思うのですがいかがでしょうか?

そういう大学院(教会などもそうですね)といったコミュニティーは入ればコネクションも意外と増えますよ。

応援しています。

マサトナカムラ」

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