【テック大学での日常】お金とパッションとニューヨーク(レジュメ・ワークショップ予告編5)

有名大学卒に勝つ方法があるって本当ですか?

(ある日の午後大学内の廊下にて)学生「プロレッサー・ナカムラ!ちょっといいですか?僕らが有名大学卒に勝つ方法があるって本当ですか?」

僕「うん?学問や学位は勝敗のためにあるんじゃないよ」

学生「でも、クラスメートがあなたから必勝法をアドバイスされて、レジュメも見てもらったっていってました」

僕「ジョブハンティング(就活)はスポーツやゲームじゃないし必勝法なんて教えていないよ。そんなの存在しない。必ず勝つ方法じゃなくコツみたいなものは伝えたけどね。でもまあ、今度みんなの為にレジュメ・ワークショップでもやろうと思ってるんだ」

学生「その前に僕のレジュメ先に見てください」

君はどんな職業につきたいの?

僕「どれどれ。。うーん改善点あるよ、そもそも、 君はどんな職業につきたいの?」

学生「なんでもいいんです。自分のスキルを使えて、給料もらえれば。もっと言えばエンジニアリングじゃなくてもいいです」

僕「ふむふむ。機械工学科を卒業するけど別に 職はこだわらない」

学生「はい」

僕「で、どんな職業につきたいの?」

学生「??だから、いい職にありついていい給料もらえれるならこだわりません。来るもの拒まず、一旦自由に考えたいです」

いい職にありついていい給料もらえれるならこだわりません

僕「。。」

学生「なんか間違ってますか?」

僕「。。いやいや君の人生だから間違いっていうのはないよ。君の考えを理解しようとしてるんだ」

学生「一緒に暮らしているおばあちゃんも体調悪いし、 妹もまだ小学生だし、働いている母親の収入だけで一家生活してるんです。とにかくなんでもいいから働いてマネーが欲しいんです」

僕「うんうん、わかるよ。ニューヨークって成功者にはとても優しいんだ。でも成功できなかった人にはとても厳しい街でもあるんだよ。世界中から莫大な富が集まってきて、渦のように人と物を動かし、それに魅了された人がアメリカ内外から集まり、更に新たな富も投入され、大きな渦巻きとなっていく。ニューヨークの成功者は渦の波にうまく乗ってサーフィンのように自由に動ける。またはその大きな渦巻の中心に立ってヒト・モノ・カネをコントロールしてるんだ。ところが、」

ニューヨークって成功者にはとても優しいんだ。でも成功できなかった人にはとても厳しい街でもあるんだよ

学生「はい」

僕「 成功できないと、なかなか波に乗ることができない。乗るどころか、逆に波に飲まれ溺れてしまう。もしくはトルネードみたいな渦だったら遠くに吹き飛ばされちゃうかもしれない。NYはそんな特殊な街なんだ」

学生「大袈裟ですよ」

僕「君は家族と暮らしてるから知らないだけなんだよ、NYにいつ来たの?」

学生「僕が二歳の時、おばあちゃんと両親とでNYに渡ってきました。僕の生まれはドミニカンリパブリックで、妹はNY生まれです」

僕「おばあさまもご両親も大変苦労されてNYに渡ってきたと思うよ。これから君がみんなを支えるんだね」

おばあさまもご両親も大変苦労されてNYに渡ってきた

学生「はい!だからどこでもいいんです。いい給料もらえれば」

僕「わかった。。君は何回か僕のクラス取っただろう?つまり一年以上も毎週僕たちは授業で一緒に過ごした」

学生「はい」

僕「だからもう友達や家族みたいなもんだよ(笑)。これから言う僕の意見はCity Techの先生としてじゃなく、友達や家族からのものだと思ってほしいんだ」

学生「はあ」

僕「まず、 いろんな考え方・価値観があると思うけど、僕は君の考えは間違っていると思うんだ」

僕は君の考えは間違っていると思うんだ

学生「間違ってます?」

僕「少なくとも僕が企業側だったら君を雇わない。だって給料もらえるなら何でもやりますって言ってる人は、多分募集しているポジションの重要性や意義などを軽視しているんだ。わかる?」

学生「そうですかね?実際みんなそうですよ」

僕「例えば、僕ガールフレンド欲しい!とか私ボーイフレンド欲しい!って言っている人がいて、」

学生「ええ(ニヤニヤ)」

僕「その人に、女性だったら誰でもいいからあなたを選んだ、どんな男性でもいいのであなたにした、って言われたらどう思う?」

僕「僕の中身を知って欲しい!って思うでしょ?しかもお金(給料)目的のお付き合いだったら嫌じゃない?」

学生「そうかもしれませんけど、恋愛と就職は違うし、何でもいいから給料欲しいって面接では言いませんよ」

企業は君のポテンシャルや才能に惚れて採用するんだよ

「そうかな?企業は君のポテンシャルや才能に惚れて採用するんだよ。それに、 面接では言わないだろうけど、君のレジュメから『職種はどうでもいいから給料欲しいって』のがわかる。そんなレジュメが書類審査を通るはずもない。よって、君は面接に呼ばれないので、面接で言わないどころか言うチャンスも失っている」

学生「本当ですか?どうしてわかったんですか?」

僕「わかるさ」

学生「レジュメのどの箇所で分かったんですか?」

君自身自分が何をやりたいのか、わかっていないからだ

僕「君のレジュメで僕が気づいた点が2つある。一つはどの業界向けの内容なのか絞られてなくて、方向性も専門性もあいまいな点、もう一つはサマリー(要約)が書かれていない点。後者はエントリーレベルの職探しでは致命的だよ」

学生「業界が絞られていないっていうのは、実際絞っていないので当たり前だと思います」

僕「だからそれがいけない。君は機械工学で学士を取る予定だけど、パートタイムの仕事はレストランのウエイター、インターンはNPO(非営利団体)の事務、カメラの撮影スキルも結構書いている。全部中途半端に見えちゃったらどうする?特にレジュメのスクリーニングで担当者が君のレジュメを見たとき。エンジニアのポジションにはいまいち弱いし、レストランビジネスへの意欲は感じなれない。製造業に行きたいのか外食産業なのかNPOなのかカメラマンになりたいのか、わからない。なぜなら、」

学生「。。(僕をじっと見ている)」

僕「君自身自分が何をやりたいのか、わかっていないからだ。君がわかっていないのに、レジュメの読み手=採用側がわかるはずがない。業界を絞ってレジュメを書け。もし違う業界も視野に入れているのであれば、その業界バージョンのレジュメを作ってもいい。でもごちゃまぜはダメ」

どれもいまいちの経験しか書いてないCity Tech卒のレジュメと、専門性がレーザービームのように集中している有名大学卒のレジュメ、どっちが面接に呼ばれる?

学生「。。。はい。」

僕「ごちゃまぜにして、どれもいまいちのスキル・経験しか書いてないCity Tech卒のレジュメと、専門性がレーザービームのように集中している有名大学卒のレジュメ、どっちが面接に呼ばれるかわかるでしょ?」

学生「うーんそうですね。。」

僕「そしてサマリーは必要。レジュメの冒頭に、『セルフスターター(自分から行動する人)で意欲のある新卒が製造業でメカニカルエンジニアのポジションを探してます。』とワンセンテンス(一行)書くだけで、ああうちのポジションにアプライしたいんだなってわかるじゃない?君のレジュメが締まってくる、フォーカスしてくる」

学生「なるほど!」

生涯自分が情熱を注げる仕事・事業・プロジェクトを見つけるのが『初任給の額』より大事なんじゃないかな?

僕「最後になるけど、実は、君みたいな『とにかくなんでもいいから働いてお金が欲しいんです』って考えの人、ニューヨークには多いんだ。僕もNYで学生だったときはそう思ってたと思う。ニューヨークは資本主義・世界経済の首都だからね。そういう人のほうが成功しているかもしれない。でもね、 お金を使って何がやりたいのかが重要なんだ。そして多くの場合、すごいことをやったり感動のプロジェクトを進めていくのにお金は大して必要じゃない。必要なのは君のパッション(情熱)。生涯自分が情熱を注げる仕事・事業・プロジェクトを見つけるのが『初任給の額』より大事なんじゃないかな?」

学生「僕のパッション。。どこにあるのかな」

僕「参考になる考え方があるよ」

学生「どんなのですか?」

僕「 それは、

  1. 給料がどれも高くて選び放題、しかも失敗してもOKだったら、どんな仕事に人生を費やしたいか?
  2. 自分がもし余命1年ならどんなプロジェクト・仕事をしたいか?

これを自問し続ける」

給料がどれも高くて選び放題で失敗してもOKなら、どんな仕事に人生を費やしたいか?余命1年ならどんなプロジェクト・仕事をしたいか?

学生「うーん。。大ごとですね」

僕「三度(みたび)聞くけど、君はどんな職業につきたいの?レジュメアップデートしながら真剣に考えてくれ!」

学生「はい。。」

僕「ぐずぐずしてる暇はないぞー!みんなを集めて来週講義だー!」

これが僕の学生のためのNYでのエンジニアの就職活動を解説する【レジュメ・ワークショップ】 
を開催した理由その5

Please follow and like us:

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *