【質問答えます】 私には夢があります。それは、カナダのUBCでPh.Dを取り、持続可能な社会を作ることに貢献することです。 自分は有名大学出身でもなければGPAもあまり良くないため、そのような激しい競争に勝てるか自信がなく、とても不安です。

質問者Rさん「Masato Nakamuraさま 初めまして。いつもNakamuraさまのツイートを拝見し、素敵な方だなとツイートを楽しませていただいております。 私の夢のために、お力添えを頂きたく存じます。長文で申し訳ございません。

私は環境科学を学んでいるM2の学生です。 私には夢があります。それは、カナダのUBCで優秀な学生と切磋琢磨しながらPh.dを取り、日本を含む世界で環境を守り持続可能な社会を作ることに貢献することです。 カナダのUBCには憧れの先生が何名かいらっしゃるので、M2から一度就職してお金を貯めてからUBCのPh.dにチャレンジしたいと考えております。しかし、UBCのようなトップスクールには世界中から大変優秀な方々が応募することが予想でき、自分は有名大学出身でもなければGPAもあまり良くないため、そのような激しい競争に勝てるか自信がなく、とても不安です。

少しでも合格率を上げるために、 何かすべきこと、しておくと良いことなどは?

そこで質問があります。 少しでも合格率を上げるために、私が思いつくことは少しでも多く投稿論文を持ってることが重要だと思い、M2の間に頑張って論文を数本投稿したいと考えております。これ以外に今後「何かすべきこと、しておくと良いことなど」ございましたら、ご教示いただけると幸いです。

大変ご多忙のところと存じますが、ご回答いただけると幸いです。 どうぞよろしくお願いいたします。」

日本の出身大学よりGPAが大事

僕「質問ありがとうございます。環境科学を学んでいるとのこと、次の世代の学生が環境問題に取り組み、それを研究対象にすることは素晴らしい事だと思います。僕の専門:地球環境学(特に環境工学)を研究している僕としては思わず応援したくなります。カナダのUBCで博士号Ph.Dを取りたいとのこと、Rさんの志が感じ取れます。

有名大学出身でもなければGPAもあまりよくないとのこと、お気持ちよくわかります。日本の出身大学はほとんど関係ないと考えていいでしょう。というのも世界のアカデミアから見て、日本の大学が環境科学の分野でどれだけリーダーシップを取っていて、世界で名声を得ているのかは未知数に見えるからです。要するに、残念ながら知られていない場合が多いということです。特にカナダやアメリカの英語圏ではその傾向が強いです。僕は、Rさんが日本の有名大学出身ではないことよりも、むしろRさんのGPAが低いということのディスアドバンテージ(不利益)を気に留めたほうがいいと思います。というのも北米の大学では、GPAは学生のパフォーマンスを定量化する基準として使われる傾向が強いです。特にアドミッション・オフィスやプログラム責任者のファカルティは、より質の高い学生に入学してもらいたいと思っていますから、GPAが載っているトランススクリプト(成績証明書)は重要視する傾向にあります。もし今からでも間に合うのなら、大学院の授業で『優』を出来るだけ取ってGPAを少しでも改善することをお勧めします。もしくは在学中に学科の教授に許可をもらい、余分に単位を取ってGPAを底上げするなど方法はあります。

激しい競争に勝てるか?

激しい競争に勝てるか自信がないということですが、これはRさんの実力で勝負するしかありません。そしてトップスクールにいる強力なライバル達と競争するプロセスは非常に有益な経験になる事が多いですよ。そのライバル達は正々堂々とあなたと勝負するかもしれないし、あらゆる精神的プレッシャーを与えてくるかもしれないし、陰湿なイジメを実行するかもしれません。また、時には姑息な手段で蹴落とそうとするかもしれません。でも、そのライバルたちがいるからこそ、自分が鍛えられるし、正々堂々と戦う方法も姑息な手段の対処法もわかってくるのです。そしてそのライバル達が同時に大親友になったりするものです。日本から来た一留学生が、トップスクールやエリート校ではそういう戦いを強いられるというのは知られていないですし、逆にそういう経験をしないで卒業したということは、ライバル達からマークされるほど本人が脅威でなかった(頑張らなかった)と思っていいくらいです。

嫉妬と尊敬と友情が複雑に絡まった存在

ちなみに僕が入った博士課程のプログラムもそうでしたよ。コロンビア大学時代の僕のライバルのひとりは卒業後も成功していますが、今でも僕は彼を意識しているし彼も僕のささやかな足跡を気にしていると思います。この関係は一生続くものなんだと思っています。嫉妬と尊敬と友情が複雑に絡まったライバルの存在って貴重な生涯の仲間だし、孤独な自分自身を強くするものですよ。

質問の投稿論文ですが素晴らしいアイディアです。指導教授やラボのメンターに相談して投稿論文を出すといいですよ。研究能力を証明する名刺代わりになります。僕も日本での修士課程の時、当時の助手の方を手伝って、投稿論文2本出しました。

何かすべきこと、しておくと良いことなど

「何かすべきこと、しておくと良いことなど」は、

  1. 留学資金の工面。
  2. 願書や書類の準備、TOEFL等の試験準備を早めにする。
  3. できれば留学したい研究室の訪問、もしくは、
  4. 指導してもらいたいUBCの教授が出席する国際会議に出て、会議場で話しかける。

などでしょうか?とくに2.は、カナダの西海岸は日本からも近いので一度UBCや他のキャンパスに訪問することをお勧めします。

どうかRさんの夢、実現プロセスを楽しんでください。

応援しています。


マサトナカムラ」

Rさん「 Masato R. Nakamura さま UBCのPh.D希望の質問をしたものです。 大変丁寧に答えていただき、どうもありがとうございます。お礼をしたく送らせていただきました。 頑張って論文をたくさん投稿したいと思います。 誤ってお返事いただいた質問を2,3度送信してしまったかもしれません。 ご迷惑おかけし、申し訳ございません。 今後のご活躍を期待しております。 」

Please follow and like us:

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *