質問者Nさん「エンジニアに憧れてなったのはいいですが、求められていることと自分の実力に差がありすぎてかなり申し訳ない気持ちでいっぱいです。 かといってエンジニアであることを諦めたくはないですし、スキルを身につけるということ以外にどうしたらいいでしょうか」
技術革新が早い業界はその差があって当たり前
僕「エンジニアに憧れて夢が叶ったとのこと、おめでとうございます。素晴らしいことだと思います。自分の実力と求められていることに差がありすぎてとのこと、心苦しい気持ちは非常によくわかります。エンジニアであることをあきらめたくはないというのもごもっともです。
実は、求められているスキルと自分の実力は差があるのはよくある事で、特に技術革新が早い業界、スタンダードが目まぐるしく変わる業界はその差があって当たり前と思っていいです。
僕も、3か月間は何をやったらいいのか全くわからなかった
僕も実はNさんと同じ経験があります。東京でシステムズ・エンジニア(SE)を始めたとき、最初の3か月間は何をやったらいいのか全くわかりませんでした。そもそも、面接のときに、『あなたのターミナルやコンピューターとサーバーが繋がっているかどうか確認したいとき、どうする?』っていう簡単な質問に『机に潜ってイーサーケーブルが繋がってるか確かめる』と答えたんですが、面接した後の上司は呆れて「正解は『pingを打つか、telnet(当時)でログインするんだよ』」と教えてくれました。ネットワーク系は当時驚くほど僕も無知だったんです。
またニューヨークで金融ITのSolution Architectをやってた時にクライアントの銀行に行っていろいろ話したんですが、ある銘柄のボラティリティといって、ストック(株)がボラタイルするって意味が解りませんでした。物理・化学系の僕らはボラタイルするって、プラスティックや他の有機物を熱分解したときに出る揮発性のガスや他の物質のことを『ボラタイルマター』とかいうんです。転じて金融ではボラティリティって株価などの変動率の事をいうんです。それはそれははずかしかったです。
「ピッチャーにとって一番大切なのはマウンドで堂々としていること」 の意味
大事なポイントは、その要求されているものと自分の実力の差をあなたは本当に埋めたいのか?ということです。つまり自分で学んで出来ないことが出来るようになりたいのか、それとも申し訳ないから学ばないでチームから疎外されるかです。あなたが差を埋めることに自信が持てないのなら、どうやったら自信が持てるのか、将来どういうエンジニアになりたいのか真剣に向き合うといいでしょう。
スキルを身に着ける以外にどうしたらいいでしょうか、とのことですが僕の答えはシンプルで、スキルよりもまず、矜持を持つことです。単純に言うと自信をつけることです。僕が日本にいた頃、野球選手の野茂英雄さんがメジャーリーグにチャレンジし見事成功しました。野茂さんが野球少年の質問「ピッチャーにとって、何が一番ですか?」という問いに対して「ピッチャーにとって一番大切なのはマウンドで堂々としていることです」と言っていました。意外な言葉でしたが、やっぱり、エースはチームに信頼されなきゃいけないのです。ピンチのたびにマウンド上でおどおどされてはチームメイトも監督も不安でなりません。
アメリカの大学院博士課程の学生の第一関門、クオリファイング・イグザム(博士資格試験) という残酷な試験
アメリカの大学院で博士課程の学生には、クオリファイング・イグザム(博士資格試験)という第一関門があり、それをパスしないと学生はその大学を退学になるという残酷な試験があります。僕の場合オーラル(口頭)試験で、黒板に立ちチョークを持たされて、4人のプロフェッサーの前で矢継ぎ早の質問に答えるというものです。留学生で英語が母国語じゃない僕は圧倒的に不利で、勝ち目がありませんでした。自信がなくおどおどしていた僕は、親友に相談しました。するとその親友は「クオリファイング・イグザムはバイクと同じ(?)で転倒しそうになったら、コケるもんかって踏ん張るんだ。コケると思ったらコケるし、コケるもんかって思ってたらコケないんだよ」この言葉で、自信を持つこと、やれると思ってやることの重要性を認識しましたよ。
あと身近なロールモデル(模範となる人物)を探すといいですよ。
応援しています!
マサトナカムラ 」